風寒表証を治療する薬である。

麻黄(704)112
肉桂・桂枝(705)70
紫蘇葉(707)200
荊芥(708)250
防風(710)244
羌活(711)180
白芷(712)22
細辛(713)34
生姜(714)282
辛夷(715)164

麻黄

主成分:エフェドリン
薬効:エフェドリンには中枢神経興奮作用(覚醒作用、鎮痛作用)に加え、交感神経興奮作用(心拍数増加、発汗作用、気管支拡張作用)がある。よって漢方では代表的な発汗
薬とされている。非アルカロイド成分には血圧降下作用があるが、アルカロイド成分(水製エキス)には、血圧上昇作用がある。高齢者で循環器系の既往歴のある人には注意を要
漢方では、鎮咳、去痰、解熱、発汗等のため用いられる。麻黄の代表的処方に小青竜湯があるが、青竜とは麻黄のこと。強い発汗作用のある麻黄と軽い発汗作用のあるケイヒ(桂皮)とを組み合わせたものは、「桂麻剤」と呼ばれ(小青龍湯、麻黄湯等)、解表・発汗を目標として配剤されている。

桂皮(桂枝、肉桂)
主要成分:ケイヒアルデヒド
薬効:サリチルアルデヒド〜鎮静・鎮痙作用、末梢血管拡張作用、血小板凝集抑制作用、抗菌作用。
多糖体画分〜抗腫瘍作用
漢方では、風邪薬、鎮痛・鎮痙薬、解熱、鎮痛、消炎薬、保健強壮薬、婦人薬とみなされる処方に高頻度で配合されている。

紫蘇葉
主成分:ペリルアルデヒド
薬効:マウス傾口投与でヘキソバルビタール睡眠延長。(メタノール抽出エキスもヘキソバルビタール睡眠延長作用を示すが、この場合はペリルアルデヒドとスチグマステロールの相互作用による)。抗白癬菌作用、殺線虫作用。
漢方では、鎮咳去痰薬、風邪薬とみなされる処方などに配剤される。

荊芥
主成分:メントン
薬効:50%メタノールエキス〜鎮痛、抗炎症作用、煎液〜抗結核菌作用
漢方では、荊芥連翹湯、十味敗毒湯などに配剤。発汗、解熱、鎮痙、解毒のためにもちられてきた。マオウやケイヒ同様に発汗作用で知られているがそれらよりは作用は弱いため、単用することはあまりなく、他の生薬と共に処方される。

防風
主成分:フラキシジン
薬効:解熱、鎮痛。煎液〜解熱作用、50%エタノールエキス〜鎮痛作用、クロモン類〜血圧降下作用、サポシニコバン類〜網内系賦活作用
漢方では十味敗毒湯、防風通聖散に配剤。発汗、解熱、鎮痛のために用いられてきた。皮膚疾患用薬、消炎排膿薬、鎮痛薬とみなされる処方に配合される。

羌活
主成分:ノトプテロール:抗炎症、血管透過性亢進抑制作用
薬効:鎮痛作用、脂質過酸化抑制作用
漢方では、発汗、解熱、鎮痛のため用いられてきた。頭痛、関節痛、リウマチ、身体不随、身体疼痛などに用いられる。

白芷
主成分:エーテルエキス:血圧上昇、呼吸運動など中枢興奮作用。
フラノクマリン類:アドレナリンまたは副腎皮質刺激ホルモン誘発の脂肪分解促進作用、インスリン誘発の脂肪生成阻害作用。発がんプロモーター抑制作用。
薬効:解熱、鎮痛、解毒、排膿
漢方において 基原植物はトウキと同じ属だが、漢方の用法はトウキと異なり、解熱、鎮痛、解毒、排膿のために用いられてきた。成分的にはかなり異なり、漢方における用法も異にする。