FAB(前頭葉機能検査)とは

FAB (Frontal Assessment Battery at bedside) と呼ばれる前頭葉機能検査は、簡便に前頭葉機能を測定できる6つの項目からなる面接形式の検査です。
前頭葉機能検査FAB(ファブと読みます。以下同様です。)で質問
される項目

満点は18点。健常な人だとだいたい8歳以上で満点がとれます。
1.概念化課題
この課題では例えば「バナナとみかんはどこが似ていますか?」という質問をします。この質問に対して口頭でどこが似ているのかを答えてもらいます。言語による概念操作に関連しますので、右利きの人では左半球の前頭前野(ぜんとうぜんやと読みます。以下同様です。)の活動を反映すると思われます。
2.知的柔軟性課題
「か」からはじまる言葉をできるだけたくさんあげてください」と質問します。おもに言葉を作り出す領域、すなわち、右利きの人では左半球の前頭前野の活動を反映すると思われます。
3.行動プログラム課題
自分の左手の掌を右手でグー・手刀・掌で順番にたたいてもらいます。Hand-fist-palmと呼ばれていますが、前頭葉の中でも運動プログラムに関与する高次運動野の機能を見るものです。
4.反応の選択課題
この課題ではルールを決めた指運動を行ってもらいます。「私が指で1回ポンとたたいたら、続けて自分の指で2回ポンポンとたたいてください。私が2回指でポンポンとたたいたら、自分の指で1回ポンとたたいてください」とルールを説明したうえで、
ポン(1)-ポン(1)-ポンポン(2)-ポン(1)-ポンポン(2)-ポンポン(2)-ポンポン(2)-ポン(1)-ポン(1)-ポンポン(2)
と指でたたいて見せて、ルールにそって指をたたくように指示をします。ルールに従った運動の発現は前頭葉の高次運動野と前頭前野内側面、どのように指をたたいたのかの短期記憶も必要になりますから前頭前野の機能を見ていると考えられます。
5.GO/NO-GO課題
前述の反応の抑制課題とよく似ていますが、指を1回ポンとたたいたときは同じように1回、2回ポンポンとたたいた時にはたたかないというルールを設けます。反応の選択課題で必要となる脳の領域のほかに、行動(指運動)を抑制する両側半球の前頭前野の機能を見ることになります。小学校の1年生くらいですと、この課題ができないことがあります。
6.把握行動課題
被験者の両手を机の上に掌を上向きにおき、その後「私の手を握らないでください」と言ってから、ゆっくりと両手を被験者の掌に近づけていきます。前頭葉に病変のある患者さんでは反射的に手を握ってしまうことが知られています。行動の抑制機能を見る課題で、両側半球の前頭前野の機能を反映するものと考えられます。

FAB(Frontal Assessment Battery) 前頭葉簡易機能検査の評価基準について
 日本では、前頭葉機能を多面的にスクリーニング出来る検査として、FAB(Frontal Assessment Battery)は用いられています。検査時間が短く、特別な用具を用いないで施行出来ると言うことが、臨床場面で多く用いられる理由です。しかし、使い勝手の良さとは裏腹に、日本では標準化されていないため、評価の基準がはっきりしない状態が続いています。

 図は2006年に報告されたFABの検査結果の比較です(画像をクリックすると大きくなります)。サンプル数が少なく他疾患との比較検討がなされていないのが、問題であるような気もするが、前頭前野の障害を判定するには、参考にはなるのではないでしょうか。因みに、カットオフは11/12。
http://outlandos.blog.eonet.jp/photos/uncategorized/2009/05/21/photo.jpg
http://outlandos.up.seesaa.net/image/fab_parper.pdf#search='%EF%BC%A6%EF%BC%A1%EF%BC%A2+%E5%89%8D%E9%A0%AD%E8%91%89'